ガレージハウスのメリット
建物の構造では、土地の寸法や車の台数にもよりますが、1階にガレージと玄関などの居住スペースがあり、メインの居住スペースは2階以上に持ってくる場合が多いです。
それでは早速、ガレージハウスを建てるメリットについて紹介します。
愛車を危険や雨風、紫外線から守れる
ガレージハウスでは、ガレージ部分にシャッター等を設置したクローズドタイプのものが多いため、シャッターを閉めれば、いたずらや雨、風、紫外線から愛車を守ることができます。
屋外の駐車スペース、簡易的な屋根が付いているカーポートの場合は、雨風や紫外線を完全に防ぐことはできません。屋外駐車の場合に比べて洗車の回数を減らすことができるでしょう。ガレージハウスは車の劣化対策にも有効といえます。
セキュリティ面においても、盗難や車上荒らし、子どものイタズラなどを心配する必要がなくなります。リビングや廊下などから眺められるような設計にすれば、さらに安心な上、大好きな愛車とともに暮らせます。
狭小地でも駐車スペースが確保できる
狭小地とは、明確な定義はないものの20坪以下の土地を狭小地と呼ぶのが一般的です。こうした狭い土地に建てられる住宅が「狭小住宅」です。狭小住宅の場合、建ぺい率目一杯に住宅を建てるため、駐車スペースが確保しづらいのが難点です。
しかしガレージハウスにすれば、2・3階部分に居住スペースをつくり、1階部分に駐車スペースを確保できます。
ちなみに駐車スペースの広さは、車1台分なら約5坪、2台分なら約10坪ほどが必要ですが、ガレージハウスなら狭小地でも十分に設置できる広さです。
建物と駐車スペースが近く、移動が楽で動線がコンパクトに
ガレージハウスは建物と駐車スペースが近く、家と車との行き来が楽です。
ガレージから直接家につながっている設計となっているため、雨が降ったときも、濡れずに出入りできたり、大きな荷物がある時にも家の中まで運ぶ距離が短くて済むなど、乗り降りが快適です。
あらかじめ家事動線を考えた間取りにすることがポイントです。
駐車スペースだけではなく、家族にとっても便利な空間になる
小さい子どもをチャイルドシートに乗せる際も、通常ならガレージに行くまで、あるいは乗降車
同じように、車イスの方もビルトインガレージがあれば、間取りの工夫次第で乗り入れが楽になるでしょう。
また、車が停まっていないガレージは、子どもの遊び場にも変身します。縄跳びや夏のプール遊びにも大活躍します。
ガレージ以外の用途にも使える
ガレージを趣味部屋や作業スペースなど、ほかの用途にも活用できるメリットのひとつです。
車関係の荷物やグッズをたくさん収納したり、作業台を置いてDIYを楽しむスペースにしたり、室内でもなく完全に屋外でもない、自由な発想で自由に使える空間が生まれます。
とくに車好きな方にとって、ガレージハウスはワクワクするプランニングではないでしょうか?
さらに、テーブルやイスを用意し、友だちを招いてホームパーティーをしたり、換気設備が整っていることを利用して、BBQも楽しんだりすることもできます。このように、家族にとって利便性が高い点もガレージハウスの魅力です。
容積率が緩和される
車庫の容積率緩和 自動車の車庫は敷地内の建物全体の床面積の1/5までを上限に容積率から緩和されます。
仮に150㎡の敷地で容積率100%の土地があった場合、延床面積150㎡+車庫部分30㎡(延床面積の1/5)=180㎡の家を建てることが可能になります。
ガレージハウスのデメリット
ここまでご紹介した通り多くのメリットがあるガレージハウスですが、建物と車庫が一体になっていることによって生まれるデメリットもあります。ガレージハウスに住みたいと考えている方は、デメリットについても理解しておきましょう。
ガレージハウスの建築費用が高くなりやすい
車を出し入れするための大開口部が必要になるため、ガレージハウスでは建物の強度を十分に保つ必要があります。ガレージハウスは1階をガレージとして広い間取りをとるために、耐震面も検討する必要性がある為、構造計算をして、強度を担保して計画する事をおススメしますので、建築費用が高くなりやすい側面があります。
車を所有している場合、建物外に駐車スペースを設けるためには広い土地を確保する必要がありますし、月極駐車場を借りる場合には、毎月駐車料金がかかります。建築費用が気になる場合は、これらの費用と比較して比較しながら、ガレージハウスにするか検討してみても良いと思います。
居住スペースが狭くなる
ガレージハウスは、平屋で敷地にも余裕がある場合は、該当しないと思いますが、限られた敷地内での容積から考えると、車庫スペースが建物に組み込まれるため、その分1階の居住スペースが狭くなります。そのため、居住スペースと車庫スペースのバランスを慎重に検討する必要があります。
国土交通省の「駐車場設計・施工指針」によると、普通乗用車に必要なガレージの広さは「長さ6m✕幅2.5m」、軽自動車は「長さ3.6m✕幅2m」以上です。つまり、ガレージ(車1台)に対しておおよそ4~6坪の面積が必要です。
ただしガレージは収納スペースとしても活用できるため、一概に居住スペースが制限されると考える必要はないでしょう。
ガレージの広さは将来も視野に入れる
ガレージハウスを建てる際は、ある程度スペースに余裕を持っておきましょう。車の買い替えに備えたり、物置、趣味のための余裕スペースを確保したりしておくと失敗リスクが低くなります。
特に、車のサイズや台数に関しては、家族構成や年代の変化によって影響を受けやすいものですので、可能であれば、はじめから“最大”で考えておくとよいでしょう。また、ガレージを家の内部空間とどう繋げていくのかは家族でじっくりと話し合う必要があります。
上記の国土交通省の「駐車場設計・施工指針」の寸法と、これに無理なく扉を開け閉めできるだけの幅を見込まなければなりませんので、
将来の車の買い替えも想定しておくのがポイントです。
周囲の道路との兼ね合い
ガレージの出入り口の向きは、周囲との兼ね合いを考えるべきです。出入り口付近の道路勾配がきつかったり、縁石が高かったり、歩道+縁石があるのか、車によっては底をこする恐れがあります。また、通行量が多い通りに面していると車の出し入れがしにくいこともあるでしょう。
水勾配も考えてある程度の勾配を想定しないといけないが、勾配が緩いと道路が浸水する場合にガレージ内も浸水のリスクになる為、所有の土地でも、新たに土地を購入する場合でも、周囲の道路との兼ね合いもリサーチしておくことが大切です。
ガレージハウスを建てるときの注意ポイント
ガレージハウスを建てる際は、生活動線、シャッター、ニオイなど、さまざまな検討ポイントがあります。
間取りは生活動線を意識
ガレージハウスでは建物1階部分は多くのスペースをガレージが占めることになります。玄関や廊下の位置、1階の間取りなどもガレージがある分、ある程度限定されてしまうでしょう。ガレージハウスにしたことにより、生活スペースが極端に狭くなったり不便になったりしないよう、間取りや生活動線に工夫が必要です。
ガレージをひとつの部屋と考えて生活動線を意識するのがコツです。車庫として考えて居住スペースと区切ってしまうと利便性が下がりやすいことに注意してください。
例えば「ガレージ→パントリー」の動線を設ければ、食材の運び入れが楽です。また、「ガレージ→玄関脇のセカンド洗面→ウォークインクローゼット→リビング」の動線をつくれば、帰宅後の流れがスムーズになるでしょう。将来的に「ガレージで降車→ガレージ内のホームエレベーター→室内へ」という様な移動ができると便利です。
家族が寝ている時間帯にガレージを利用するような生活スタイルの場合は特に注意が必要です。もちろんガレージの真上に寝室を設けないなど、総合的な対策も検討しておきましょう。
開口部の広さやシャッターの種類
ガレージの実用面としては出入りのしやすさが重要です。「バックで出るときにこすれそうで怖い」などの声がよく聞かれますので、開口部には余裕を持っておくとよいでしょう。
シャッターも重要なポイントです。シャッターの種類によって音が近隣に響きやすくなる可能性があります。特に深夜や早朝に車が出入りする場合は、シャッター音が騒音となりご近所トラブルに発展するかもしれません。車が出入りする時刻やシャッターの種類など、綿密に検討するのがおすすめです。通勤や買い物などで車をよく使うなら、やはり電動式が便利です。また、「オーバースライダー方式」という静穏性に優れた、天井部分にシャッターが収納されるタイプもあります。
念入りな換気対策が必要
24時間、車のメンテナンスができるとはいえ、ビルトインガレージ内でエンジンをかけると振動が2階部分に響くこともあります。ビルトインガレージの上を子ども部屋や寝室にしないよう留意し、防音効果のある天井材を使うなどの対策を施しましょう。
ガレージハウスでは排気ガスやメンテナンス用品などのニオイ対策が必須です。建物内でエンジンをかけたり、洗浄したりすることになりますので、窓だけでなく、換気設備を整えておきましょう。シャッターを閉めると密室になるガレージでは、24時間換気設備を導入するのがベストです。暖機運転をする際には、必ずシャッターを開けて換気するようにしましょう。
メンテナンスや趣味の時間を快適に過ごすには、エアコンも必要です。コンクリート床であることやシャッターから外気が伝わるなど、ガレージは普通の部屋と比べて断熱性が高くありません。これはどこまで断熱性能を求めるのかなど建築会社と相談しながら、検討する必要性があります。
コンセントの設置場箇所
コンセントの設置個所にもこだわっておきたいところです。愛車のメンテナンスでは高圧洗浄機や電動工具など、何かとコンセントがあると便利です。また将来的に電気自動車に変え変える場合は、充電用コンセントも設置しておきましょう。
またメンテナンスをする場合には十分な照明設備が必要になる事も想定して計画する必要性があります。
コンセントの設置個所は「対角線上に2カ所+α」を基本に考えます。後から設置すると費用がかかるため、多めに確保しておくと安心です。
ガレージの大きさと固定資産税の関係
建物の固定資産税は、建物の価値や広さから算出されます。
ガレージハウスではガレージスペースも建物の一部ですので、ガレージがあることによって建物が大きくなれば、固定資産税が高くなる可能性があります。
建築基準法による「自動車車庫等部分(ガレージ部分)が建物の床面積の合計(延べ床面積)の5分の1を限度として延べ床面積に算入しない」という容積率の緩和措置がありますが、一般的には、この緩和部分ですが固定資産税の「計算外」となります。それにより、延べ床面積が少なくなりますので固定資産税額も低くなるという訳です。
これは、都市部の狭小住宅ではとても大きなメリットとなりますので、積極的に考えてみたい家の建て方ではないでしょうか。都市部は土地の値段も高いので、固定資産税軽減ができれば嬉しいものですよね。
もちろん、家の一部として計画されるので、カーポートなどの全く固定資産税の対象にならないような設備に比べると値段は上がります。ガレージハウスについて考えた時に、カーポートなのか、ガレージハウスなのかという選択基準のひとつになるのではないでしょうか。